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クリスマス ストーリー

2019年12月23日

助任司祭 ラニエル・バディラ・ベルドス(パル)

カトリック関口教会 助任司祭:ラニエル・バディラ・ベルドス

クリスマスシーズンと言えばやはりふるさとのクリスマスの体験を思い出します。ある調査によると、世界中で一番にぎやかなクリスマスシーズンを過ごすのはフィリピンだそうです。他の国とどこが違うのか。フィリピンでは、クリスマスと言えば早々(はやばや)と9月から、家でも、デパートでも、教会でも、どこの場所でもクリスマスの飾りが見られたり、クリスマスの音楽も聞こえてきたりするのが普通です。と言うわけで、フィリピンでは、9月から次の年の1月の末までがクリスマスなのです。その4ヶ月間のクリスマスシーズンは、フィリピン人にとってその年の一番家族的な時間を過ごすための大事な期間でもあるのです。

クリスマスが近づくと、小学1年生から6年生までだった頃の自分を思い出します。サンタさんの訪れをわくわくしながら待っている自分です。クリスマスの前晩には、寝る前に、いつも自分の部屋の壁に一つのきれいな靴下(くつした)をぶらさげたものです。もちろん、わたしが寝ている間にサンタさんがわたしへのプレゼントを持って来ることを子供の頃からずっと信じていたからです。次の日に起きて、前の日に準備した靴下を見るとその中は確かにサンタさんからのプレゼントがたくさん入っていて、サンタさんは決して子どもの私を裏切りませんでした。だから、本当にサンタさんが来てくれたことを固く信じていました。

大人となった今、この自分が子どもだった頃のことを振り返るとき、何と幸せな思い出を持つことが出来たのだろうと思っています。プレゼントをもらったことより、その小さな幸せを全身で味わった時の喜びの方が魂に刻まれているように思います。サンタを通して小さな子どもが神様からの愛を惜しみなく注がれた貴重な心の体験でもあるのです。

現代の社会では、クリスマスのそのような小さな喜びがだんだん薄れていっているように思えます。なぜなら、クリスマスというのは商品化されたイヴェントか営利を目的とするシーズンになるからです。クリスマスが終われば商店街もデパートも年末大売り出しに即切り替えられてクリスマスの余韻は姿を消してしまいます。このような雰囲気の中で、姿を見たことは無いが、サンタが本当にいて自分にプレゼントを持ってくる神秘的な出来事を今の子どもたちは、私のように信じて待つことができるだろうかと思ってしまいます。今年、クリスマスに待ち望まれたイエスがわたしたちを招かれるのは、あの子どもの頃の心からの笑顔と感謝と小さくても溢れる喜びなのではないだろうかと思います。現代社会が勧める喜びは商品を頼りとしていますが、教会がわたしたちに勧めるのは、イエスからの喜びです。わたしたちの救いのために幼子となってこの世に来てくださったイエスを「ありがとう」という感謝の気持ちで迎え、お祝いすることが一番大事なことだと思います。

あまりクリスマスをお祝いしない日本に住む自分は、長年過ごしてきた母国フィリピンの祝福に満ちたクリスマスシーズンを懐かしんでしまいがちであるが、同時に、自分はこの日本に神様に派遣されたからこそ、この日本の教会で祝うクリスマスを喜びとし、感謝して過ごさなければならないと思う次第です。さて、クリスマス、今年、あなたは何にどんな喜びを持ってその日を迎えられましたか?

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