お知らせ

せきぐち – 2013年3-4月号

2013年04月25日

信仰年の復活祭を迎えて

三田一郎 助祭(マニラにて)

三田一郎 助祭

主のご復活をお祝いする最も聖なる祝日、おめでとうございます。

神は人間に自由意志を与えて下さいました。ロボットのように神を愛するのではなく、自分の意志で心から神を愛するためです。しかしながら人間はこの自由意志を乱用し、誘惑に負けてしまいます。このような悲惨な状態にある人間を救うためにキリストは人となり、死んで下さいました。「キリストはローマ人の兵隊によって殺された」などと他人のせいにしてはいけません。わたしたちが罪を犯したら、わたしたちの唾が、2000年の時をさかのぼりイエスの顔に吐かれるのです。わたしたちがイエスを十字架に架けたのです、イエスに鞭を打ったのです、イエスの脇腹を槍で刺したのです。

哀れみ深い神はこのようなわたしたちでも、回心させ、罪を赦して下さり、救って下さいます。御父はわたしたちが殺してしまったキリストを復活させました。それだけではありません。わたしたちもキリストと共に復活させて下さいます。永遠の命を無償で与えて下さいます。このお恵みを大いに感謝し、喜びましょう。

信仰年は第二バチカン公会議開催50周年を記念します。公会議文書は2000年前のキリストの普遍の教えを、今日わたしたちが住む荒れ野のなかで伝えるマニュアルです。人間の正しい生き方について書かれています。このマニュアルに沿ってキリストの福音を宣べ伝えましょう。

キリスト者が公会議文書に沿って一番努力するべきことは地球上の貧富の差を少しでも小さくすることです。これこそキリストが教える隣人愛を全うすることです。 最近わたしはインドとフィリピンに行き、大きなショックを受けました。幅広い高速道路の道端に人々が仮小屋を密集させて住んでいます。マンネリ渋滞で、大気汚染は日本の安全基準をはるかに超えています。このなかを、窓を閉め、のろのろと排気ガスを出しながら、見て見ぬ振りをして車を動かしている人々がいます。日本では考えられないほどの貧富の差です。わたし一人ではどうにもならない。わたしもそう考えて、見て見ぬ振りをしている一人でした。イエスが今日来られたら、さぞこれらの貧しい人々を憐れみ、かれらを深く愛し、数多くの奇跡的癒しをされたことでしょう。

そしてわたしは吉岡秀人医師の存在を知りました。家族を日本において、ミャンマーで貧しい病人を無償で治療しています。大勢の住民が何日間もかけて吉岡先生のところに歩いて治療に来ています。シスター藤田文子は日本の里親から寄付を集め、インド、バングラデシュ、エチオピアで貧しい子供たちに教育を与えるNPO ESNAC を設立しました。このために多くの子供たちが教育を受け、自立しています。

このような活動こそキリストを復活させて下さった御父の業に対する人間の正しい応答ではないでしょうか。この人々は個人で活動しています。この姿にイエスが見えます。

イエスはわたしたちに発展途上国に行きなさいとはおっしゃいません。このように貧しい人々のために活動している多くの人のために金銭的な支援をすることもキリストの復活に対する正しい応答です。わたし一人では何も出来ない。「だからやめよう」と思ってはいけません。一人ひとりが何も出来ないことは神がご存知です。出来るだけのことを行い、後は神に祈りゆだねるのです。そうすれば自分の予想以上の大きなことを、神はさせて下さいます。

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