お知らせ

慈雨

2018年12月29日

西川神父

今年は、豪雨の災害が各地に起こり、岡山や広島では、未だに復旧ができておらず、避難所生活をしている方々が、そのまま年を越すことになっている様子が、新聞やテレビで伝えられています。雨も限度を過ぎれば、地震や津波にも匹敵する破壊力を持つことがよくわかります。

さて、カテドラルの草花や樹々にとって、雨はその生存を保っている原動力です。雨が降ってくると、嬉しくなるのは、そのせいです。雨が降らないと、花壇や鉢に水をやらねばなりません。夏季の水やりはほんとうに大変です。下手をすると、枯れてしまいかねません。日中に水やりはできませんので、朝晩、ホースを伸ばし、バケツで水を運び、かなりの時間をかけて散水をします。ですから、雨は天からの恵みです。雨が降るから、水分を取って、芽を出し、根を生やし、成長してゆくのです。ごくごく当たり前のことですが、大切な現実です。

昨年は、雪が降りました。一晩で約50センチ以上の雪でした。人が通る道、車が通る道、そして駐車場と除雪作業が繰り返し行われて、その日のうちに、人や車の領域は綺麗になりました。しかし、緑地帯は、雪が残りました。完全に消えるのには、約1週間かかりました。新聞で読んだのですが、雪に埋もれながら、植物はじっくりと水分を吸収して、春の成長の準備をするのだそうです。日本アルプスや北海道の大雪山で春の雪解けを待つように咲くお花畑は、雪の中で、地熱と水分を吸い取って一斉に咲く準備をしているのだそうです。

今月に入って、欅も桜もすっかり葉を落とし、さっぱりしました。欅と桜の葉は養分たっぷりなので、落ち葉を掃いて集めたら、コンポストに入れてくださいとお願いしています。来年、花や野菜を育てるとき、土を掘って、下にコンポストで少し腐敗し始めている葉っぱを敷いておくと、とてもいい肥料になります。ビニール袋に入れて捨てるのはもったいないのです。土を作っておくと、夏の日照りにも強いのです。雨が降ると、土の中の落ち葉が水分を吸い込んで水気を保ちます。虫も小さな生き物も住んでくれます。

冬はこれからですが、桜は枝の先端に固い蕾をつけて、春が来るのを待っています。よく見ると、もう既に、草木は春の到来を告げて、芽を出し始めています。この時期に、いつも使う言葉ですが「冬来たりなば、春遠からじ」そのものです。 

 

西川哲彌 神父

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