お知らせ

カテドラルを包む植物たち

2018年03月24日

西川神父

桜が咲いてきました。まだ満開ではありません。おそらく、関口教会の桜は、満開で復活祭を迎えることになるでしょう。

話は、相変わらず、雑草の話です。このところ、急に暖かくなり、雨が降って、構内の緑地帯は、花や木々が生き生きとしてきました。冬から春への移り変わりが、そのまま、映り出されています。それはそれで素晴らしいことですが、目を地面に転じてみると、びっくり仰天しました。なんと、一面に小さな緑が目を出しているのです。まるで黒いキャンバスに小さな筆で、きめ細かく点をつけたような感じです。それは、草が一斉に芽を出しているということなのです。

実は、三月の初め、すでに芽を出していた草を、削り取って、何もないようにしていたところだったのです。花の苗か野菜を植えて育てる予定にしていたのです。それなのに、草が地面にきめ細かく芽を出していたので驚いたのです。

ほっておくと、その芽は伸びて茎になり葉をつけ、やがて、人の背に達するほ

ど成長して花を咲かせ、種を撒き散らして枯れてゆき、手のつけられない荒地になってしまうのです。それまで、いろんな野菜や花をふんだんにもたらしていた畑が、たったの2〜3年で人が入ることさえできないジャングルになってしまっているのを福島で何度も目にしました。

一度荒地にしてしまったら、元に戻すのに2〜3年はかかります。ちなみに、米を作らなくなった田んぼは、3年も経つと、もとどおりの田んぼにするのは不可能に近いと聞いています。

ともかく、草の実が、地中に混じっていて、春になると、たくましく芽を出すことがわかり、改めて、雑草の力を確認させられました。それはそれでいいのです。そこに、花か野菜を植えて育てながら、草を取って行けばいいのです。

福島では、家も畑も、さらに、大切にしていた田んぼさえも、再興をあきらめ、トラックで土砂を運んでブルドーザーでならして、広い更地にして復興事業に組み込んだりしています。構内の緑地帯は、そうはゆきません。

カテドラルが、コンクリートと金属でできていますから、それを包む環境は柔らかい緑と季節の花がなければなりません。幸い、緑は、年季の入った樹々が十分に茂っています。あと欲しいのは、小さな緑地帯に、季節を彩る花や野菜です。花も野菜も、植生の期間が短いので手がかかります。ほっておくと、すぐに雑草畑になってしまいます。毎日、草を抜き、水をやり、植え替えをしてゆかなくてはなりません。人の心と同じです。ほっておくとすぐに雑草にやられてしまいます。用心、用心。

西川哲彌 神父