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カテドラルにも梅
2019年03月09日
東京カテドラルは隠れた桜の名所です。もともと今の大きな聖堂が建てられる前、広い庭に樹齢何十年という桜が植わっていて、桜の時期になると、噂を聞いて桜見物に来る方がいらっしゃったとのことです。今でも、何本か残っていて、桜の時期に見事な花を見せてくれます。柔らかい桜と硬いカテドラルのコントラストは一興です。
桜は今のところ咲き控えていますが、あちらこちらから梅の便りは届いています。熱海、小田原、越生、水戸の偕楽園は梅見の客で賑わっているとテレビで見せてくれます。ところで、隠れた桜の名所であるカテドラルには梅の木はないのかというと、ちょっと目に付きません。しかしよく見ると、一本だけあるのです。
高さ1.5メートル位で、樹齢は何十年も経っているような感じです。枯れているのなら、伐ってしまいたくなるような老木です。枝も枯れてしまっていて、ルルドの近くのいいところに生えているから気になるのです。2月の末、細かく観察し、枯れてしまった短い枝を一本、一本丁寧に取っていたら、生きている小さな枝を発見しました。なんと、その枝に小さな蕾がついていたのです。そのあと、慎重にすべての枝を観察したら、数本生きている小さな枝を見つけることができ、それぞれに花の芽がついていたのです。
それから二週間後、なんと梅の花(当然の事)が咲き始めていたのです。つまり、死んでいたような感じだった古木は、生きていて、開花の時期を迎えていたのです。それから、毎日、花見をしてきました。今では十数個の花が咲いています。遠くから見て、梅が咲いているような感じはしませんし、香りも漂っていません。しかし、近づいてみると、ささやかながら梅の花です。まだ寒さが残っていますので、咲き控えていますが、1~2週間後にはもっと咲いているでしょうから、カテドラルにいらっしゃった時は、近寄って「頑張っているな、立派だよ」って励ましてやってください。
西川哲彌 神父
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