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諸聖人
2012年11月01日
カトリック教会では、11月を死者の月と決め、亡くなった全ての人のために永遠の安息を祈ります。月の最初の日である11月1日は諸聖人を祝います。そもそも諸聖人とは誰のことをいうのでしょうか?
フラアンジェリコの作品に、天に昇られ王となられたイエスや、天に上げられた聖母、それに天使たちと共に神の玉座の周りを囲む諸聖人の美しい絵があるのをご存じでしょう。それは天使の持つ楽器からは天上の音楽が聞こえ、黄金色の滑らかな彼らの衣服からは、かぐわしい高貴な天上の香りが舞いたちそうなほどに、美しい。
修道士だったフラアンジェリコは、天上の宴への希望が満たされる神の国をこのように描きましたが、この絵がそれ程に美しければ美しい程、人の世の悲しみや苦しみが深いと言っているように感じられます。
度々思うこと、それはこの世界は涙の谷だということです。聖人がたは、この涙の谷の試練を経て(ヨハネの黙示録7.14)、神のもとに辿りついた人びと、毎日の単調で何の変哲もない繰り返しや、予定外の出来事の連続の中をくぐり抜けた人たちで、特別な人ではないように思います。ただ、物事の受け止め方や、やり過ごし方が一味違うのではないでしょうか。当たり前のように朝が来て夜になって一日が終わりますが、この一日をいただけたことを感謝して始め、感謝して終われるか、そんなところから一味の違いが生まれそうです。そして、この繰り返しで積もった感謝が、その人を練り鍛え、神の国にふさわしい人にして頂けるように思います。聖人とは、ごくごく小さなことの繰り返しを誠実に生きて、神の望まれた姿になっていった人たちのことではないでしょうか。
「わたしの父の家には住むところがたくさんある」(ヨハネによる福音書14.2)とイエスは言われています。
この言葉はわたしに希望を与えてくれます。いつの日か、父のもとに帰り、聖人がたにお会いしたいので、この毎日を丁寧に生きていきたいと思っています。
品川ヨシ子
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